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全社プロジェクトを推進する鍵と課題の乗り越え方-社会的視座で組織に新しい風-【キヤノンMJ様】

作成者: VISITS Technologies Inc.|Feb 19, 2024
【今回の変革者】
キヤノンマーケティングジャパン株式会社
企画本部 オープンイノベーション推進室 室長 木暮次郎氏

キヤノンマーケティングジャパン株式会社(以下、キヤノンMJ)は、キヤノングループの一員として、オフィス機器やITソリューションなど日本国内でマーケティング活動やソリューション提案を行っています。キヤノンMJグループでは、2025年ビジョンとして掲げる「社会・お客さまの課題を ICT と人の力で解決するプロフェッショナルな企業グループ」の実現に向けて人的資本の価値最大化を図っており、イノベーション人材・イントレプレナー(社内起業家)の発掘・育成にも注力しています。今回は、その取り組みをリードするオープンイノベーション推進室の木暮室長にお話をお伺いしました。

社会全体を客観的に見つめ、人間だからこそ発揮できる「デザイン思考力」の重要性に気づいた

ー まず、木暮さんの担当業務やミッションを教えてください。

オープンイノベーション推進室では、新規事業創出に取り組むとともに、そのノウハウを生かしてイノベーションに必要なスキル・マインドを身につける社内研修「イノベーションアカデミー」や、社員自ら起業にチャレンジできるグループ社内起業プログラム「Canon i Program(以下、CiP)」などを実施しています。また、キヤノンMJグループ全社1万人規模で、イノベーション人材の発掘・育成を目的としたデザイン思考テスト(VISITS社開発)を実施。VISITS社主催のDX人材発掘・育成のための研修プログラム「デザトレ」に参加したりと、キヤノンMJグループに必要なイノベーション人材育成プログラムの内製化に向けて取り組んできました。弊社では、新規事業創出・イノベーションを推進していくプロフェッショナル人材「事業開発アクセラレーター」の育成も行っていますが、そのアクセラレーターたちが所属するのもオープンイノベーション推進室になります。アクセラレーターは、CiPや各部門における新規プロジェクトの支援、他社との共創プロジェクトなどに伴走し、事業開発期間の短縮と精度向上を図っています。

ー 「デザイン思考テストのグループ全社への展開」などの革新的な取り組みは、どんな思いから実施に至ったのですか?

既存ビジネスへの危機感から、新たな価値創造ができる人材育成が重要だとして、数年前から、イノベーション人材を2025年までに2,500名育成する計画を実行しています。また、昨今の目まぐるしい社会変化や生成系AIを代表とする新たなテクノロジーの台頭もあり、私としても、これまでの人間の役割を大きく変化させていく必要があると考えていました。人間だからこそ発揮できる力である、共感力や課題を発見する力を高めることが新たな価値創造につながるという思いのもと、グループ全社に実施することとなりました。

ー イノベーション人材育成に力を入れている理由を教えてください。

オープンイノベーション推進室がスタートした当初は、ベンチャー企業とのアライアンス業務を行っていました。しかし、そうしたオープンイノベーションや共創を成功させるためにも、企業側の人材が育っていないと難しいということに気づきました。イノベーション人材の育成はすぐに結果はでませんが、経営が考える課題感とも一致したことから、具体的な目標まで設定することができました。

社内変革を進めるために、会社の課題や方向性を分析し経営陣を説得

ー 社内変革を推進する中で苦労された点、工夫された点を教えてください。

弊社はイノベーションや新たな挑戦に対して否定される風土はないため、大きな苦労をすることはありませんでした。しかし、新しい施策を実行するためには多くの部門や人の巻き込みが必要でした。その為にも、会社の課題や今後の方向性との連動、個人にとっての必要性を意識して、参加者だけでなく、部門にとっても納得感を高める工夫をしました。また、施策によって、グループ社員全員が参加するものや、自分の意志で手を挙げて参加するものに分けるなど、実施後の効果をシミュレーションし設計に反映しています。

ー 将来的にイノベーション人材は社内でどのような存在になってほしいですか?

イノベーション人材は、なにも全員が新規事業に携わるということではないと考えています。先ほど、2025年にイノベーション人材2,500人の育成を設定したとお話ししましたが、この人数は、グループ全社員約16,000人に対しおおよそ6人に1人の計算になります。弊社の最小ユニット単位で考えた場合、一つのユニットが6人で構成されていると仮定すると、各ユニットに1人イノベーション人材がいれば、その人が起爆剤的な役割となります。それにより、ユニット全体に良い効果が生まれ、ひいては、組織全体がイノベーティブに変革できるのではないかと考えました。さらに、その中で起業にチャレンジできる仕組みを設計することで、イントレプレナーを育成し、そのノウハウやビジネス連携などが多く生まれていくことを期待しています。そうしたイノベーション推進活動を通じて、新たな事業を創出し続ける企業になれればと考えています。

社内のイノベーションエコシステム強化、社会全体にインパクトを与えられる仕事も

ー 貴社の今後のチャレンジに向けて、一言お願いします。

キヤノンMJグループは、キヤノンの製品やサービスと独自の技術やITソリューションなどを組み合わせてお客さまへの提供価値を最大化するべく取り組んできており、現在ではITソリューション領域が売上の約4割を占めるほどに成長しました。キヤノングループの一企業としての立ち位置はこれからも変わりませんが、それに加えてキヤノンMJグループ独自のミッションやビジョンを実現するために、イノベーションやDX領域での人材の高度化に向けた人的資本への投資を進めています。社員一人ひとりがイノベーションを推進するために社会に目を向け、そのうえで多様な価値観を認め合い自分の意見や想いをぶつけ合えるオープンな組織風土を醸成することが私の役目だと思っています。私たちキヤノンMJグループが今後も社会から期待され愛される存在であり続けるためにも挑戦をつづけたいと思います。

ー 木暮さんご自身の今後の展望についても教えてください。

私は自分自身がマグロのように泳ぎ続けないと死んでしまうと思い込んでおり、常に社会に対してどのような貢献ができるかを模索しています。そして、今後もそれを追求することになると思います。より社会に貢献を大きくしていく為に、キヤノンMJグループの規模感や体制、人材といった強みを生かしながら会社を変革していくことにやりがいを感じています。また、企業規模に関わらず、様々な会社に多くのイノベーターがおり、横の繋がりもあります。本気で変革を志している人たちが身近にいるので、そういった仲間たちに刺激を受けながら切磋琢磨していきたいと思います。

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